神世七代

第 二 章

神世七代かみよななよ

七つの世代を重ね、ついに“生む力”を持つ夫婦神が立つ。

◀ 神代 目次へもどる
この物語は、原文を読みやすく現代語にしたかなり“はしょった”要約・脚色版です。細部や表現は正確な原文・訳注書と異なる場合があります。

造化三神が姿を隠したあとも、高天原には次々と神が生まれていきました。泥がようやく大地の形をとりはじめた頃に現れた国之常立神(クニノトコタチノカミ)、豊かな雲や野を思わせる豊雲野神(トヨクモノノカミ)。この二柱もまた、対を持たない独神でした。

ところが、ここから神々のかたちが変わっていきます。以後は男女が対になって生まれるようになったのです。泥や砂、芽吹きや杭、そして人の心の恥じらいまでを名に負った神々が、五組の夫婦として次々に登場します。

対となって生まれる神々
対となって生まれる神々

国之常立神から数えて七つの世代、これを「神世七代(カミヨナナヨ)」と呼びます。そしてその最後、七代目に立ったのが、伊邪那岐命(イザナギノミコト)と伊邪那美命(イザナミノミコト)の二柱でした。名前には「誘(いざな)う」という意味が込められ、互いに惹かれ合い、新しいものを生み出す力を秘めた、はじめての“夫婦の神”です。

伊邪那岐と伊邪那美、相対す
伊邪那岐と伊邪那美、相対す

天にいる先輩神たちは、まだ固まりきらず漂うばかりの下界を見おろし、二柱に立派な矛を授けて命じました。「この漂える国を、しっかりと整え、固め、完成させなさい」と。世界を“生む”壮大な仕事が、いよいよ始まろうとしていました。

天沼矛を授かる
天沼矛を授かる

二柱は顔を見合わせ、静かにうなずき合いました。まだ何ひとつ定まらない、混沌とした下界。その頼りない眺めを前にしても、二人の胸には確かな高鳴りがありました。これから自分たちの手で、島を、山を、川を、そして数えきれないほどの神々を生み出していく。世界のかたちそのものを決める大仕事が、いま始まろうとしていたのです。

登場する神々

国之常立神
クニノトコタチノカミ
大地が永遠に立ち続けることを象徴する神。神世七代の最初に立つ、国土の礎のような存在です。
伊邪那岐命
イザナギノミコト
神世七代の最後に現れた男神。次章から国土や神々を生み出す、神話前半の主役です。
伊邪那美命
イザナミノミコト
伊邪那岐の妻となる女神。ともに世界を生みますが、やがて悲劇的な運命をたどることになります。

豆知識・この神話の背景

“七代”の数え方
独神二柱はそれぞれ一代、男女の対の神は二柱で一代と数えます。だから登場する神の数と“代”の数は一致しません。
名前が世界の成り立ちを語る
泥や砂、芽、杭、そして恥じらい。神々の名は、大地が固まり、生命が芽吹き、心が生まれる過程そのものを表しているといわれます。
この章をシェア ✕ ポスト LINE Facebook