国生み

第 三 章

国生みくにうみ

矛の雫が島となり、日本の国土が生まれ落ちる。

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この物語は、原文を読みやすく現代語にしたかなり“はしょった”要約・脚色版です。細部や表現は正確な原文・訳注書と異なる場合があります。

伊邪那岐命(イザナギノミコト)と伊邪那美命(イザナミノミコト)は、天と地をつなぐ「天の浮橋(アメノウキハシ)」に立ちました。授かった天沼矛(アメノヌボコ)を、下界を覆う塩水の海へ差し下ろし、こをろこをろと音を立ててかき混ぜます。

そっと矛を引き上げると、切先からしたたり落ちた潮が積もり固まって、小さな島になりました。世界で最初の陸地、淤能碁呂島(オノゴロジマ)です。二柱はさっそくこの島に降り立ちました。

天沼矛で海をかき混ぜる
天沼矛で海をかき混ぜる

島に立てた太い柱(天の御柱)を、伊邪那岐は左から、伊邪那美は右から回り、出会ったところで夫婦の契りを交わします。ところが最初は、女神である伊邪那美から先に声をかけてしまいました。そのためうまく子が育たず、生まれた水蛭子(ヒルコ)は葦の舟に乗せて流されてしまいます。天の神に相談し、今度は男神から声をかけて、やり直しました。

雫から生まれる淤能碁呂島
雫から生まれる淤能碁呂島

すると今度はうまくいきます。淡路島を皮切りに、四国、隠岐、九州、壱岐、対馬、佐渡、そして本州。次々と大きな島々が生まれました。これらをあわせて「大八島国(オオヤシマグニ)」といいます。こうして、私たちの住む国土のかたちが、神々の手で形づくられていったのです。

次々と生まれる大八島
次々と生まれる大八島

島々を生み終えた二柱は、続いて海の神、川の神、山の神、風の神、木の神と、そこに宿るさまざまな力を次々と生み出していきます。荒れていた世界は、みるみるうちに豊かで、にぎやかなものへと変わっていきました。けれど、満ち足りたその先に、二人はまだ、思いもよらぬ深い悲しみが待っていることを、知る由もなかったのです。

登場する神々

伊邪那岐命
イザナギノミコト
天沼矛で海をかき混ぜ、国土を生む男神。“先に声をかけ直す”という知恵で国生みを成功させます。
伊邪那美命
イザナミノミコト
国土を生む女神。母なる大地のように次々と島を生み出していきます。
淤能碁呂島
オノゴロジマ
矛の雫から生まれた最初の島。二柱が降り立ち、結婚した神話の舞台。淡路島周辺に比定する説があります。

豆知識・この神話の背景

流された水蛭子と“えびす様”
舟で流された水蛭子は、のちに海の向こうから福をもたらす神・恵比寿(えびす)と結びつけて信仰されるようになったとも伝えられます。
おのころ島神社
兵庫県・淡路島にはオノゴロ島の伝承地とされる「おのころ島神社」があり、縁結び・夫婦円満の社として親しまれています。
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